Escape/Journey (1981)

世界中で1000万枚近く売れたこのアルバムの素晴らしさを否定する人はいないであろう。このアルバムにおけるスティーブ・ペリーの甘いハスキーボイスには最高の艶があり、今でも聴くと鳥肌がたつ。ニール・ショーンの本アルバムでのギタープレーも最高である。彼は、当時の速弾ギタリストの中でも最速の部類に入るギタリストであった。彼の速弾きはどちらかというと勢いで押し切るようなところがあり(悪く言えばめちゃ弾き)、符割りを気にせずに小節内に強引に音を詰め込んで弾きまくるという感じであった(この点、次世代のギタリストとは異なる趣がある)。その一方で、ソロにおいては非常にタメをきかしたフレーズも多用するため、速弾きとの対比によって非常にメリハリのあるプレーを生み出していた。当時ギター少年であった私は、四苦八苦しながら彼のコピーをしたものであった。最近、ジャーニーも、大物バンド復活の流れに乗ってか、再結成されニューアルバムをリリースした。その直前にスティーブ・ペリーはソロアルバムを発表していたが、そこにはかつての艶のある美声はなく、さすがに衰えをみせていた。しかし、再結成アルバムでは、また鍛え直したのか、スティーブも大分復調した感じで、バンド自体のグルーブ感も悪くない。



Queen II/Queen (1974)

クィーンのすべてのアルバムが大好きであるが、このアルバムについては特別な思い入れがある。私が小学校4年生の時にいとこがこのアルバムを録音したテープをくれた。これが私にとってクィーンとの最初の出会いであった。それ以来、クィーンは私にとってのスーパーアイドル/ヒーローとなった。初めてこのアルバムを聴いたとき、女性が歌っているのかと勘違いするほどフレディの声は澄んでいた。この当時のクィーンは才能とアイディアに満ち溢れ、それを止めることが出来ないといった感じであった。このアルバムにはそうした彼らのとめどない才能とアイディアが凝縮されている。その後のクィーンの特長となった分厚いコーラス、複雑なギターオーケストレーションはこのアルバムでも十分堪能することが出来る。本アルバムは、ブライアンとロジャーの楽曲を中心とするホワイトサイドと、フレディの作品からなるブラックサイドから構成されている。中でも、ブラックサイドに収録されているメドレーの流れと構成はまさに圧巻である。また、オープニングの「Procession」におけるブライアンのギターオーケストレーションはとてもギターの音色とは思えず、当時はキーボードでプレーされていると思っていた人も多い。有名なハンドメイドギターによって千変万化の音色を生み出すブライアンであるが、この曲におけるアタックを極めて抑えたバイオリン奏法は本当にすばらしい。この当時、クイーンは日本以外では全く人気がなかった。我々日本人が諸外国に先駆けてクィーンの素晴らしさを認めていたということは誇りにしてよいと思う。すばらしい音楽を届けてくれたフレディに改めて感謝したい。Thanks, Freddie. I'll never forget you.

つづれおり/Carole King (1971)

彼女はまさにシンガーソングライターの「キング」である(女性だから本当はクイーンか?)。彼女は偉大な作曲家であると同時に偉大な作詞家でもある。AOR分野をはじめとした他のミュージシャンに対して彼女は絶大な影響を与えてきた。ロッド・スチュワート他豪華メンバーによってこのアルバムを丸ごとカバーしたトリビュートアルバムが最近リリースされたが、トリビュートアルバムは数あれど、1つのアルバムを曲順からそのままカバーするというのは極めて稀なことである。このことからも、このアルバムの全体的な偉大さをうかがい知ることができるであろう。アルバムに収録されている各曲は、非常にシンプルなアレンジが施されており(中にはキャロルのピアノのみの曲もある)、キャロルの声質・唱法ともにさほど強烈なインパクトがある訳ではない。しかし、このアルバムは、どの曲がシングルカットされてもおかしくないほど高い質をもっており、これはひとえに彼女の高い作曲・作詞能力に帰するものであろう。上述のトリビュートアルバム以外にも、本アルバム収録曲の多くは色々なミュージシャンによってカバーされている(ジェームス・テイラーの「You've Got A Friend」が最も有名)。中でも私が世界最強ボーカリストとして信奉するグラハム・ボネットがそのファーストソロアルバムの中でカバーしている「Will You Love Me Tomorrow」は絶品であり、キャロルの原曲に勝るとも劣らないカバーソングである。