... And Justice For All/Metallica (1988)

メタリカの名曲「One」がMTVで流れているのを聴くまでは、いわゆる「スラッシュメタル」が嫌いであった。「One」が気に入ったこと、そしてアル・パチーノ主演の同名の映画がたまたま大好きであったことから、このアルバムを買うことになった。このアルバムを聴いてからは、メタリカはその他のスラッシュメタルバンドとは一線画したバンドであるという考えに至った。彼らの曲の歌詞が持つ深い意味、壮大かつ緻密に練り上げられた曲の構成、洗練された楽曲そのもの、ヘビーなリフを切れ良く刻んでいくギタートーンのクールさ等が、メタリカを他のスラッシュバンドとは違うものにしている。このアルバムは彼らの現在の大物バンドとしての地位確立に非常に貢献したといえよう。残念ながら、私の妻は依然として彼らの音楽を「悪魔の音楽」とみなしている。彼女に違い分かってくれというのは無理であろうか?



Alcatrazz ("No Parole From Rock'n' Roll")/Alcatrazz (1983)

私が信奉してやまないボーカリストであるグラハム・ボネットが、まさに悲しむべきマイケル・シェンカー・グループからの脱退から復帰し、新しいバンドを結成したというニュースが新しいシングル「Island In The Sun」と共に飛び込んできたとき、彼のハードロックシーンへの復活を本当に喜んだ。またもや不死鳥のように復活したグラハムは、この時は、イングヴェイ・マルムスティーンという新しいギターヒーローを引き連れて登場した。共にプレーしてきたギタリストに関するグラハムの経歴はすざましい。リッチー・ブラックモア(レインボー)、マイケル・シェンカー(マイケル・シェンカー・グループ)、イングヴェイおよびスティーヴ・ヴァイ(アルカトラス)、クリス・インペリテリ(インペリテリ)と錚錚(そうそう)たるメンツである。いつもながら強烈なグラハムのハイトーン・ボーカルは本アルバムでも冴えわたっており、特に「Hiroshima Mon Amour」は必聴である。彼の歌唱力はこれまで過小に評価されているように思う。このアルバムは、新しいギター救世主の登場という意味でもエポックメイキングであった。イングヴェイの超早弾きプレーによるクラシカルフレーズはロックギター界に革命を呼び起こし、その後続々とイングヴェイタイプのクラシカルタイプの早弾きギタリストが出現することとなった。私はもはやイングヴェイの音楽をフォローしてはいないが、このアルバムについては必死にコピーしたものである。



Operation : Mindcrime /Queensryche (1988)

現在のミュージックシーンにおいて、新しいアルバムが発表された際にそれを買いたいと思わせる数少ないバンドの一つがクイーンズライクである。クイーンズライクは常に発展しつづけるバンドであり、柳の下のどじょうなど決して狙ってこなかった。新しいアルバムを出すごとに彼らは良い意味で期待を裏切ってきた。しかし、そのように進歩し続ける彼らの音楽においてもこのアルバムが彼らの代表作となる最高傑作であるということは間違いない。本アルバムは完璧に構成されたコンセプトアルバムであり、途中のどの部分が抜けても成り立たない。その証拠に彼らのコンサートにおいてはこのアルバムが丸ごと完璧に再現されていた(その後、持ち歌も多くなり、今ではさすがにそれはやっていない)。緻密に計算されつくした各曲の構成・流れはどのようにしてもこれ以上良くならないと思わせるほど完成されている。それに加えて、それぞれの曲も非常によく出来ている(それぞれシングルになってもおかしくない)。本アルバムが私にとって革命的であったのがそのクールで知性的な歌詞の数々である。それまで、洋楽(および邦楽でも)を聴く際に歌詞など気にすることはほとんどなく、曲をかっこいいと思うことはあっても、歌詞が良いという聴き方はしていなかった。ところが、このアルバムにおける歌詞はどれも本当にクールで、すべて暗記する価値がある。中でも、以下の歌詞は私のお気に入りである。「Religion and sex are powerplays. Manipulate the people for the money they pay. Selling skin, selling God. The numbers look the same on their credit card. Politicians say no to drugs while we pay for wars in South America. Fighting fire with empty words while the banks get fat, and the poor stay poor, and the rich get rich, the cops get paid. To look away as the one percent rules America.」(「Spreading the Disease」より)