飛翔伝説/Michael Schenker Group (1982)

もし、ロックにおける最高のライブアルバムを3つ挙げろと言われるならば、UFOの「Strangers In The Night」、ディープパープルの「Live In Japan」とともにこのアルバムを挙げるであろう。このライブにおいて、マイケル・シェンカーがそのフライングVとクライベイビー/50Wマーシャルを組み合わせて生み出す音色はいままで聴いたなかで最も甘くしびれるものである。マイケルが繰り広げる各インプロビゼーションプレイもマイケルシェンカーグループの歴史において最高と言えるもので、「Strangers In The Night」におけるソロと同じくらいクールである。特に、「Lost Horizons」と「Attack Of The Mad Axeman」におけるアドリブソロはロック史に残る名ソロである。「音飛ばし奏法」が当時のマイケルのプレイの特徴の一つであったが、この奏法は、あるスケールを弾く場合にその構成音を順に弾くのではなく、何音かスキップして弾くことによって、よりスリリングなフレーズを生み出すものであった。この「音飛ばし奏法」がこのアルバムにおいては随所に炸裂している。マイケルだけでなく、ドラマーであるコージー・パウエルもさすがに大御所と呼ばれるだけのプレイをしている。ボーカルのゲイリー・バーデンも珍しく(?)出来が良い(部分的に後録りされている可能性がある)。このアルバムについて一つだけ不満な点を挙げるならば、アルバムジャケットがダサ過ぎるということであろうか。



Blow By Blow/Jeff Beck (1975)

20数年前、私はジェフ・ベックが嫌いだった。彼の音楽に触れたこともなかったのに。 それは、ある音楽雑誌に、ジェフ・ベックがジェフベックグループからロッド・スチュワートを首にし(と書いてあったと思う)、もはや自分のバンドにはボーカリストの必要性を感じていないといった記事があり、当時ロッドがお気に入りの一人であった私はその記事に憤慨したからである。しかし、このアルバムはジェフの考えが正しかったことを証明している。このアルバムにおける彼の演奏は他のどのボーカリストよりも雄弁であった。このアルバムはロックという分野を超越したものであり、ロックとジャズの「フュージョン」または「クロスオーバー」と呼ぶべきものである。たしかにジェフは元来アバンギャルドなプレーをすることで有名であったが、このアルバムにおける彼のプレーは時代のはるか先を行っていた。発表後20年以上たってもこのアルバムは依然として新鮮である。ジェフはまた、いろいろなスタイルのプレーが出来ることでも有名であり、実際、様々な分野の多数のミュージシャンの活動にゲスト/セッションギタリストとして参加している。彼のすごいところは、ギタープレイに強烈な特徴があり、他のミュージシャンのアルバムで彼が弾いているほんの少しのギターパートを聴くだけでそれがジェフの演奏であると分かってしまうことである。彼のインストロメンタル三部作(Blow By Blow - Wired - There And Back) が下地となってその後他のギタリストが多くのギターインストロメンタルアルバムを発表することになった。私にとっては、これらのアルバムが出された時期がジェフが最も輝いていた時代である。本アルバムの録音に参加している他のジャズメンも強力であり、「Scatterbrain」という壮大な曲における各メンバーのプレーは技術的にも最高で、それらが結合して凄みのあるグルーブ感を生み出している。また、「Cause We've Ended As Lovers(哀しみの恋人たち)」におけるジェフの演奏は本当に「歌って」いるようだ。



Hotel California/Eagles (1976)

偉大なバンドには偉大なシンガーがいる、それも複数の。ビートルズ、クイーン、キッスがその良い例であるが、この点においてはイーグルスは他を寄せ付けない。ドン・ヘンリー、グレン・フライ、ランディ・マイズナー(そして彼の後任のティモシーB.シュミット)、ジョー・ウォルシュ、ドン・フェルダー、彼らは皆素晴らしいシンガーである。この個性的で強力なボーカリスト集団がイーグルスの超一流のコーラス/バッキング・ボーカルを可能にしている。概して言えば、イーグルスの音楽はギターが基本になっている。タイトルトラックであり、そのギターソロでも有名な「Hotel California」は、3人のギタリストによる数えられないほど多数のギターパートで構成されている。各ギターパートはそれぞれ異なる効果を持っており、あるものはエレキそのもの、あるものは生ギター、あるものはパーカッシブ、あるものはオルガン的にといった感じである。重要な意味を持っているのがジョー・ウォルシュの加入であり、彼が新たに参加したことにより、イーグルスのギターアンサンブルが強化され、彼らのロック色を高めることになった(一方、カントリー色は薄まった)。もう一人のギタリストであるドン・フェルダーもまた有能なプレイヤーであり、特にボトルネックプレーがうまい。彼はその他のテクニックも卓越しており、その技量は最近のMTVでの演奏においても十分垣間見ることが出来る。